インバウンドの洗礼


今年は、紅葉を見に行けなかった。

週末ごとに雨だったり、用事が入ってたり、体調が悪かったりしたのだ。しょうがない。

もう紅葉には間に合わないだろうなあとは思いつつも、道の駅とか行って野菜買ったりしたかったので、昨日はちょっと出かけてきた。戻ってきたアクセラちゃんに乗って。


で、行き先は富士山。去年くらいからずっと言っているんだけど、忍野八海に行ってみたかった。すぐ行けそうだし、旦那さんも息子氏も私も、滝や渓流などの水辺スポットがやたら好きなのだ。


おそらく本来一番近いルートは、東名で御殿場まで行き、山の方に入っていく感じなんだろうけど、昨日は足柄のあたりで何かあったらしく、迂回ルートを示された。海老名から圏央道に入り、高尾のへんで中央道へ。そこから大月まで行き、南下する。

富士吉田西桂のスマートICでおりたら、ススキ以外何にもないところに、ものすごく大きな富士山が出現した感じで、荘厳だった。


思えば、その時大きな富士をみて心が動いたのだから、ここで車を降りて、一枚でも写真を撮ればよかったのだ。後で激しく後悔することとなる。


しばらくナビの言う通りに運転する。



少しずつ人里という感じになってきて、いい感じの集落が続く。

火の見櫓と半鐘が残っているが、今も機能しているんだろうか。これ好きなんです。


で、ある時角を曲がると、急にありえないほど大量のアジア人観光客の群れが出現したのだ。もう、出現としか言いようがないの。それまで静かな集落がつづいていたのに、急によ。

えっ何これ、と驚いた。


そんで車を止めたら、そこからはまるでテーマパークか、セール時の百貨店くらいの人口密度。



湧水前は、自撮り棒にスマホをつけた外国人でぎゅうぎゅう詰め。完全に自分の勉強不足なのだが、口々に叫んでいるのを聞いていても、ただアジア人だということしかわからない。

中国語以外にも数カ国語のバリエーションがあった。



旦那さんが前もって調べていて、ここは美味しいらしいと言ってた湧水の前の茶屋に入った。結論から言うとお蕎麦は確かに美味しかったが、他のすべてがひどかった。


同じテーブルの隣客が、中国ではないどこかアジアの国のカップルだったのだが、めちゃくちゃ食べこぼしが汚かった。七味も、醤油も、お酢も置いてあるのだが、全ての蓋が開けっ放し。そばつゆか何かをこぼしたらしいが、その中に七味のフタが浮いていてカオスだった。

そんな汚いテーブルで、ぺちゃくちゃしゃべりながら食べている。で、傍についてる店員のおばちゃんが同じ国の人らしく、めっちゃ混んでるのに注文を取りに回るでもなく、楽しく一緒に母国語でおしゃべりしていた。


アジア系の店員さんは数人いて、出稼ぎだろうか、みんな違う国の人のようだった。それぞれのテーブルに、その客の言葉を解する店員が注文を取りに行く感じなんだろうが、それ以外の仕事に関してはあまり真面目にしてない様子で、明るく楽しそうにのびのびと働いていた。日本人の店員さんが、その間を必死に縫うようにして、片付けたりテーブルを拭いたりと動いてる感じだった。


15分くらい経ったかな、誰も注文を取ってくれないので、お茶とお水を取りに行ったついでに、厨房の方まで行って日本人の人に「すいませんが注文を取ってください」と頼んで席に戻った。

しかし、どうやら私たちよりも長く待たされている日本人の客がいたらしく、おじさんがトサカにきていて激おこの様子であった。

私たちの方に来かけた女性店員に対して、「こっちの方の注文を先に取ってもらう!!」とブチ切れている。さらなるカオスだ。

それならおじさんも厨房まで行けばよかったと思うのだが、それはやらないのだな。なんとなく理不尽な気もするが、この状況ではそうなる気持ちも、わからんでもない。

そちらの方をお先に、と声をかけて待つことにした。結果、別に蕎麦自体の味は悪くはなかったが、精神的に疲弊して店を後にすることになった。


綺麗な水が湧いているのに、なんだか色んなものが淀んでいて、あまり良い場所ではなくなっているのがせつなかった。

もちろん、せっかくだからそのあとも湧水を巡って歩いたのだけど。間には大型バスが止まるスペースがどんとあって、そこに色とりどりの観光バスが出入りしていた。やはり、どんなに都会から離れていて、周りに何もない良い感じの場所でも、大量に人を運んでくるシステムができてしまったら、もうある程度こういうことになるのだろう。

池の底にはコインがキラキラしていたし、周りにはゴミも落ちてたけど、水質は大丈夫なんだろうか。世界遺産なのにな。


でもきっと、池の底にきらめく小銭の何倍ものお金が、この場所に落とされているんだろう。それで地域が潤うなら、それはとてもいいことだ。



人が多すぎて疲れたので、川沿いに少し歩く。すぐそばのこの渓流のほうがよっぽどいいのに、あんなに大量にいた外国人の誰もここにやってこないのが不思議だった。映えないからなのか?


でも、息子と私はここで、一直線に水面を飛んでいくカワセミを見た。本物のカワセミを見たのは初めてだ。昔、ジャポニカ学習帳のカバーを飾っていたあの鳥と同じ色だったから、たぶんカワセミだと思う。

・・・カワセミ以外にもあんな綺麗な色の鳥っているだろうか。他の鳥でも良い、綺麗な鳥だった。

にわかに信じられなかったのは、あの湧水前の惨状を見た後だったからだろうか。なかなかカワセミとそれは結びつかないが、本来はそういう土地なんだろう。


それから、今度は道志村の方に行った。



まさかこの季節に川遊びなんてする人はいないだろうが、



この人らは降りるんだよなあ・・・



Bicycle races are coming your way〜♪

などと歌いながら、道の駅に入る。道志の名産品は、柚子だ。ここに来れば絶対安くていいのが買えると思ったが、はたしてたくさん置いてあった。何袋か買う。


横浜のスーパーで買うと、柚子はすごく高い。
今季も毎回迷っては買わずにきたのだけど、手に入ってよかった。




家に帰ってから、息子は自主学習ノートにインバウンドについて書いていた。

ぼくの家族が見たマナー違反という話を書いてあったので、「そういやママ売店の女子トイレに入ったら、拭いた紙を流さずに個室内のゴミ箱に捨てていく人が多いみたいで、張り紙に流せって書いてあるのにすごい紙だらけだったわ」と教えた。

ショックがきつかったようでびっくりしていたが、それも書いていた・・。わかる、ママもショックだっから、その場では家族に言えなかった。でも、張り紙が読めない人もいるだろうし、アジアの国にはまだ水洗トイレがちゃんとしてないとこもたくさんあるから、しょうがないんだよ。


どうしたら観光地で、日本の人も海外から来た人も、両方が楽しく過ごせるようになるかねえ、と一緒に考えた。ポケトークをめっちゃ用意するとか、観光バスの添乗員が全員にわかるようにマナーを周知徹底するとか、チラシを各国語で作るとか、いろいろな意見が出た。

息子は「あんまりひどいようなら罰金にしたら良いと思う」とものすごく現実的で厳しいことを言ったが、監視するのも線引きを作るのも難しいし、せっかくの旅の思い出を楽しくない記憶にしてしまうのも、なんだかすごく、せちがらいよな。

あなたが大きくなっていろんな国を旅するようになって、ルールやマナーの違う国にお邪魔させてもらう立場になったら、また考え方も変わるんだろう。広い世界に出る日が来るまで、狭い世界でいろいろ考えておくのも悪くはない。


しかし、忍野八海の女子トイレ事情を赤裸々に書いていったが、先生はなんて返してくるかな。なんとなくやだな(笑)やめとけばよかったかね。

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