遠い春を待つ

友達の娘ちゃんが、私立の(たぶん)いい中学校に受かったらしい。めでたい。

春から使う通学用のお財布が欲しい、次回販売にはそういうサイズの品をぜひ・・!というリクエストをもらったので、うーむと首をひねり、今を去ること2週間ほど前、型紙から新しく引いて作ったのがこちら。



「リバティラミネートでつくった、お嬢様のおさいふ」

我ながらすごい商品名だなあと思うし、販売前にインスタで「心にお嬢様が住んでいる人はぜひ注文を!」的な世迷言を言ってしまったので(←意訳です、そこまでは言ってない)、敬遠して誰も注文しないかと思いきや、わりとすぐになくなっちゃった。あんまり告知できなくてすいません。

☆クレジット決済不可☆ リバティラミネートでつくった、お嬢様のおさいふ

※この商品は、クレジット決済不可商品です。ご注文の場合は銀行振込を選択していただければと思います。 ※お申し込み時にクレジット決済を選択された場合でも、自動注文確認メールは送信されますが、後にご注文はお取り消しさせていただきます。くれぐれもご注意ください。 リバティプリントのマットなラミネート生地を使って、ポーチをつくりました。学生用のお財布を想定してお作りいたしましたが、小さめのお化粧ポーチや、カードケースなどにもお使いいただけると思います。 底からサイドにかけて、タックが全部で6箇所に入っています。ふっくらした形ですので、見た目よりも容量に余裕があります。口が大きく開いて中身がしっかり見えるので、大変便利です! 当工房の別商品「リバティラミネートのふっくらカードケース」と似た雰囲気の形ですが、一回り大きなサイズ感です。(写真4枚目がカードケースとの比較画像、写真10〜12枚目が大体の容量がわかる使用例となります) だいたいのサイズは横13~15×高さ9.5×マチ3(単位はcm)。口金の広さは13.5cmで、今回は全体に石目模様が入った高級感のあるものを使用しております。内布はメタリックのフェイクレザーを使用。同じ生地を使っていても柄の出方には個体差があり、写真と少し変わることがあります。 レターパックライトでの発送になります。定形外郵便(1個につき140円)をご希望の方は、注文の際にその旨備考欄にお書きください。一度に複数個ご注文の場合は、送料が変わることもございますのでご注意ください。 上記のような場合、storesから自動送信される受注確認メールの後に、改めて変更後の送料を工房よりご連絡させていただきます。 ☆その際、送料変更のお知らせより先にご入金いただいても、送料が足りない場合は差額をいただきますので、ご了承くださいませ。 ※以下の場合、ご注文をやむなくキャンセルさせていただくことがございますので、ご注意ください! (1)迷惑メール設定等の関係で、storesからの自動送信メールがお届けできなかった場合 (2)ご注文の際に、郵便番号やご住所、番地、お電話番号等に空欄や不備がある場合

☆クレジット決済不可☆ リバティラミネートでつくった、お嬢様のおさいふ


リクエストをくれた友人は、現行品のカードケースを愛用してくれている。中学生用とはいえど普段づかいの財布にするなら、それよりはもう少し大きめがいいんじゃないかという話になった。



そういうわけで、一回り大きめに作った。まさにお嬢様のおさいふ。

口金は、石目入りのきらきらゴールド。選び抜いた可愛らしい布たち。


しかし、せっかくいい材料を使っても、口金に袋部分を嵌めてみて、使い物にならなかったらどうしよう。と、一抹の不安がよぎるわけですよ。 



何度あたらしいのを作っても、試作品の一号は緊張する!(笑)
でも、嵌めてみたらとっても可愛かった。よかった。

新しい形だし、いろんな柄のを作ってみたくて、15個全部違う柄で一個ずつ作ってお店に並べました。
リクエストをくれた友達も、ちゃんと一つ買ってくれましたよ。


彼女は、息子が幼稚園の時に同級生だった女の子のお母さんです。

ややこしい言い方になるけど、彼女のことをいわゆるママ友ではないと(私の方は)思っていて、もともとは「息子の友達のお母さん」だったけど、今は彼女が私の友達で、娘さんはそこんちのお嬢という感じに思っている。

可愛いものが好きで、集団の中で目立つことはしないけれど、実はものすごくいろんなことを考えていて、話してみると独特の個性を持っている、面白くて賢い親子なの。

こんな偏屈で人との距離感が難しい私とも仲良くしてくれて、園内での人間関係に悩んだ時も黙って最後まで近くにいてくれたし、そのことがとてもありがたかった。

私は女の子も欲しかったから、当時は時々手作りのシュシュや袋物なんかを押し付けたりしたんだけど、彼女もお嬢も、私が作るどんなものも喜んでくれた。地元でできた、数少ない友達なのです。

卒園してからは年に数回しか会わなくなったけど、がま口を時々買ってくれます。嬉しいね。


「お嬢様のおさいふ」のお嬢様は、そういう優しく賢いお嬢なのでした。週に何日も電車に乗って、人がたくさんいる横浜の大きな塾に通って、勉強頑張ったんだな。えらかったね。


お嬢様のおさいふは、卒業・入学の時期に間に合うように皆さんに届けたい品でした。

それと、3月の販売にはチェーン付きのポーチも少し作ろうと思ってました。

昔はチェーンのついたクラッチバッグをよく作っていたのですが、最近はとんと作ってないなあ・・・。馴染みのお客様が今も結婚式や式典の時に使ってくれているのを見かけると、嬉しくなります。



2月販売はイルマでしたが、今回は春の花がたくさん咲いたプリマヴェーラを。この柄大好きなんですよ。清潔感があって、それこそ式典の時期にぴったり。

横長のポーチも、色違いで・・・



白地もいい!

実はこれを、ひとつ自分のものにしました。最近、自分のものにしがちです(笑)


この時期はお餞別や贈り物にしたいお客様が多いと思ったから、離任や卒業の時期に間に合うようにと、一生懸命急いで作ったんですよ。どれもこれも。
ほら、自分ちの息子氏の卒業式もあるから。その準備で忙しくなるまでに、と思って。


2週間前はそう思ってた。でも、あっという間にいろんな状況が変わってしまった。

急がないとすぐに来る!と思ってた春が、今はこんなに遠い。



ひと月前、スーパーで、店員が運んできた段ボール箱を興奮したじいさん達が両側から引っ張りあい、ビリビリと裂けたところから中身のマスクを奪っていくのを見た。

それからすぐ、大黒ふ頭に船がやってきた。息子がドラムを習いに行く時にときどき見かける、いつもなら大桟橋に泊まる船だ。

清潔感のある船体、冴え冴えとした白にブルーの模様、堂々たる貴婦人のような風格のあの船。大きな体に窓がぎっしりと並んでいて、赤レンガの向こう側で存在感を放っている。年に数回ある、そこそこ馴染みの風景だった。

それが、いつもの桟橋に帰れずに、少し離れたところに止められているのを見て、不憫に思った。いつも視界に入るたびに美しいものとして捉えていたあの船が、何かに侵されて汚れ物のように扱われ始めている。


そんな風に悠長なことを考えている間に、どんどん報道は殺伐とした雰囲気になり、徐々に店の棚からものが消え始めた。

ちょっと用ができたけど電車には乗りたくなくて、湾岸線にのったら、ベイブリッジのすぐ下に船がいた。こんなに近くだったんだな、と思った。

息子がなんだか病気になりそうで嫌だな、そば通っても大丈夫なの、なんて言うから、ちょっと怒ったのだった。こっちは車に乗ってるし、こんな離れてるとこを通過しただけなんだから。根拠のないことをむやみに言うもんじゃない。

中に乗っている人たちにだって超心配してる家族がいるだろうし、ママだって明日病気にかかるかもしれない。その時に、あんたの言うようなことを誰かに言われたら、辛くない?ママは辛い。だから言うな。思うのはもうほんとしょうがないけど、口に出して言わないでほしい。


3週間前、PTAの広報誌作りが佳境に入り、けっこう大変なことになっていた。

私は卒業生向けのページを作る担当で、事前にアンケートを作って担任にインタビューを行い、5000字のロングインタビューを書いたのだ。しかし、それが諸事情でボツにされた上に、削った部分を他のエピソードで埋め直して、数日で書き直さねばならないという・・・わりとピンチだった。

時期に間に合うように次々にがま口を作りたいと思いつつ、見通しが立たなくなったことに焦った。

イライラしたし、久々にちょっと他の人とぶつかった。だって5000字だもの。それを、体裁から考え直さねばならないって、けっこうメンタルがまいってくる。

記事の内容は、6年の担任4人が卒業生に贈るメッセージを込めたもので、教師一人一人が子供の頃からの来し方を振り返り、教員を志した理由や、影響を受けた本や音楽を紹介するという感じだった。
あわよくばこれを卒業アルバムに挟んでとっておいてもらって、数年後に読み返してほしい。大人へと足を踏み出す生徒達にとって、この先生方の言葉が、迷った時の人生の指針や道標のようになってくれるんじゃないか・・・そうなったらいいなあ、というコンセプトで作った企画だった。

どうも思い通りにできず、落としどころを見つけるまでに苦労したけれど、なんとか最後まで作業を終えることができた。何と言っても卒業生のためだ。

そうやって原稿をなんとか上げて、2週間前、3月販売の品を作りながら、最後の校正をした。


そして先週、息子のランドセルに紙が入っていた。この子達の卒業式に、保護者は参加できないという内容の紙だった。呆然としてしまった。

私だって泣きたかったが、担任の男の先生が皆の前で泣いたと息子がいうので、なんだか辛くてやりきれない気持ちになり、その場では泣けなかった。

ここを読んでくれてるような人ならみんな知ってると思うし、ちょっと恥ずかしいのだが、本当に息子氏のことが可愛くてたまらんのです。いろんなことが遅かったし、今もだいぶ他の子より小さいんだけど、心配な子な分、もう、めっちゃ楽しみにしてきたんですよ。小学校の卒業式で、息子が名前を呼ばれ、壇上にあがり、証書を受け取るところをこの目で見る日を。

長かったこの12年、そんな日が来ることを容易に信じられないような時もあったから。

・・・まったく情けないが、書いてるだけでうっすら涙が滲んでくる。


でも、どこの親だって皆それを楽しみにしてたし、皆つらいに決まってる。嘆いてもしょうがないことはわかっている。先週のことだし、その時何か泣き言なりなんなり言えばよかったが、なんだかもう、何も言えなかった。
それからすぐ、今度は臨時休校のお知らせが入ったというわけだ。


心底がっかりすると、ちょっとすぐにはものが言えなくなるもんなんだな。


しかしそうなってくると、頑張ってあのページを仕上げてよかったなと思えた。あれは、ちゃんと意味のある仕事だった。


先生がたは、四人四様の来し方をもっていて、それぞれに教育への情熱を携え、信念と愛情を持って児童を見てくれていた。どうかこの先もずっとずっと幸せに生きていってほしい、愛される人になってほしいと言ってくれた。

そして、一丸となって準備してきた卒業式を保護者に見てもらえないことが決まり、本来皆で大切に過ごすはずだった、卒業までの貴重な残りの日々が消えてしまったことを、泣いてくれたのだ。


先生はもう大人だから、子ども達が今回のことで、何を失ったのか、正確に気づいている。それは、あったらあったで当然のように用意され、当たり前に彼らが享受できたはずのもので、まったく自然に後ろへと流れていくはずのものだ。でも、大人になってから振り返ると、本当に貴重な、かけがえのない、大事なものなのだ。
けれど、今は本人達はまだ、あるはずだったそれを失ったことに気づいていないし、もしかしたらもう、このまま気づかないのかもしれない。なかったのが当たり前として、生きていくのかもしれない。それならそれでいいのだけど。

でも、先生はそのことに、ちゃんと気づいて、泣いてくれた。


そういう先生がたに当たったことは、私たちにとって得難い幸運だと思えた。将来あの冊子のページを開いた時に、改めてそのことに気づいてくれたらいいなと思う。・・・ほんと、捨てないでとっておいてくれよな、皆。めっちゃいいこと書いてあるんだから。


つらつらと夜明けまで書いてしまった。でも、ちょっとだけ心の整理が出来てきたかもしれない。


明日から発送を始めます。在宅勤務の旦那氏と、在宅学習の息子氏と、発送作業のわたくしですよ。どうなることやら。



チェリーハイツの皆も、五人五様の大変さがあると思う。ともちゃんは楽しみにしていたJK嬢の卒業式に出られなかったし、いくちゃんも卒業生の親で、この休校でてんてこ舞いしてるはずだ。

まこちゃんなんて先生側の立場だからな。そして、春に会いに来てくれるはずのちろちゃんは、どうやら渡航があやしい(どうなるんだろう、そこんとこは・・・)

だから、皆買い物のこととか美味しいもののこととかアイドルのこととか、あんまここで話す暇も余裕も元気もない。


けど、ふさぎこんでるのってなんだかどんどん滅入ってきて辛いから、ちょっと時間を作って、口火を切ってみました!おしまい。


2コメント

  • 1000 / 1000

  • yuki*

    2020.03.07 09:25

    @tomo♪ほんと、いつこの自粛の感じが終わるのかしらね。見通しが立たないってところが嫌よね。 卒業式、出たかったよね。色々通り越すとぼんやりしちゃうっていうの、なんか分かるかも。 気晴らししたいね。
  • tomo♪

    2020.03.02 23:40

    口火を切ってくれてありがとう!勇者!笑 なんだか本当、なにをどうしたらいいかわからないけど、受け入れるしかないんだよねぇ。 あとは、一日でも早く収束するために、協力するしかない。 そうは言っても、卒業式は出たかったよね。 色々にあっさりした私ですら、がっかりしてぼんやり過ごしてしまったくらいだから。 ぱーっと気晴らしも出来ないのがもどかしいぜ!!!